カテゴリ: 東南アジアの食材

「グリーンカレーに入っているのはグリーンピースですか?」
たまにこういう質問を受けることがありました。
解答を先に言えば「違う」のですが
その疑問を持ったまま、それだけを残す人もいたりして
ちょっと残念なので、今回はそれを取り上げてみることにしました。

そのグリーンピースもどきの正体は
「ナス」れっきとしたタイのなすび「すずめナス」です。

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学名  Solanum torvum Sw ナス科ナス属
タイ名 มะเขือพวง(マックワ・プゥアン)                 
英名Turkey berry
和名セイバンナスビ(生蕃茄子)

原産地・分布 熱帯アジア地域(一説にはアメリカ?)原産。  
        広く熱帯に帰化・栽培。 日本では沖縄県で生育。

外来種で日当りの良い山道の崖などで見られます。
「セイバン」は「西蕃」と書き、西遊記の時代の三蔵法師が向かった
西方浄土つまりチベットやインドあたりを指すそうです。

特徴
 高さ1~3mになる亜低木。 
全体に星状毛を密生し、枝には短く鋭い刺が散生する。
 葉は卵形~卵状長楕円形で、長さ10~20cm。縁は波状に切れ込み、
 先は鋭い。 花は葉腋のやや上から集散花序をだし、多数の花をつける。
 花冠は白色で5裂し、径2.5~3cm。
 液果は球形で、径6~8mm、黄熟する。

分布: 路傍
花期:ほぼ1年中

インドネシアでスズメナスは
ソラソニン、ソラソディン、ソラマージン、及びソラニンという化合物を含有
しているので、薬として利用しています。

1. INFEKSI SALURAN KENCING (尿道炎・尿路感染症)
飲み薬の作り方:スズメナス、フタバムグラ、コミカンソウ(小蜜柑草; Phyllanthus urinaria)、
それぞれ30グラム、お水カップ3杯と一緒に沸かして、
1カップを残して、火を止める。1日に3回飲む(1カップずつ)。

2. RADANG KULIT(皮膚炎)
飲み薬の作り方:30グラム乾燥ハーブまたは60グラムの生ハーブをお水と一緒に沸かして、
1カップを残して、1日に2回飲む(1カップずつ)

3. DISENTRI(赤痢)
50-60グラムの葉っぱと白砂糖:25g、3カップの水と一緒に沸かし、
お湯が1カップまでの量で火を止める。1日に3回、各1カップずつ飲む。

4. KEPUTIHAN(おりもの)
それぞれ30グラムのスズメナスの葉っぱと鶏頭 (けいとう)の花(白)、
3カップの水と一緒に沸かす。1カップのお湯が残ったら、火を止める。1日に2回程度、飲む。

5. BIDURAN(蕁麻疹/じんましん)
スズメナすの木(根っこを除く)を砕いて、蕁麻疹になった体の部分につけてこすります。
肌の色が鮮やかになるまで。1日に2、3回程度で行う。

6. DEMAM(熱)
葉っぱ:70gを水5カップと一緒に沸かす(約15分)。1日に3、4回を飲む。

7. MATA KERING/DRY EYE(ドライアイ)
1日に3回、15個の実をきれいに洗ってから飲み込みます。
沸かしたスズメナスの葉っぱと水を飲むことで、小便がスムーズになり、
高血圧病や心臓病にも手助けになると言われています。また、淋病という性病にも治療ができる。


樹液はイボなどのような皮膚病にも薬とすることができる。
殺菌・抗菌・抗がん剤として使用することができ、腫れる、炎症、リューマチ、痔の薬として。
スズメナスを食べることによって、性欲や勃起力をアップさせる効能があります。

必ずしも全種類のスズメナスは食用できない。一種のスズメナスは毒があります。
スズメナスは食中毒を引き起こす場合があるので、食べ過ぎるのも要注意。
若くない葉っぱにはグリコアルカロイド、ソラニンが含まれている。
スズメナスを食べ過ぎると
「吐き気、胃炎、唾液分泌過多、眠い、腹痛、下痢、だるい、呼吸器障害」など招く副作用があります。

さて、このすずめナスは、タイのグリーンカレーには必要なものです。
大きなタイナス(マクアボ)の存在に隠れがちですが、2種類のタイナスが
あってのグリーンカレー。最近は以前と比べて入手しやすくなった
食材のひとつです。

食べてみればわかります。グリーンピースとは明らかに違うものであることを。

「パクチーの有無について」「パクチーを分けていただきたい」
一時ほどではないにしても、ほぼ毎日上記のような質問を受けます。
コリアンダーことパクチー(香草)。

本来は世界的に存在していて東南アジアよりもむしろメキシコやパナマといった
中南米のほうがよく消費されています。
ところが、東南アジアの特集か何かで頻繁にその存在が知られてから、
「コエンドロ」という和名があるのにも拘らず、
なぜかタイ語の「パクチー」という言葉が独り歩きしてしまいました。
その結果ベトナムでもこの名前で、これだけを所望したいと言われてしまうため、
現地のベトナム人が戸惑うというある意味「異常事態」に
ちょっと距離感を感じています。

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タイ料理では絶対的な存在と思われている「コリアンダー」


たとえば、このパクチーは結構一般的なスーパーなどでも出回っているの
対して他のハーブはタイ食材店とか私たちなら農家直送で送ってもらう
必要があり、それだけ希少価値が高いわけです。
ところが、それらと一緒にメニューに出したとしても(それが本来の姿です)
パクチーだけ食べてほかのハーブ類を一切手をつけないという状態が
以前何度もありました。

まあ、金を出している客だから何をしても良いという理論はありますが、
あまりにも極端すぎるので、ちょっと悲しいものがあったのは事実です。

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(グリーンカレーの上にも乗せる「ホラパー」
しかし、いつもこのハーブが手もつけられずに残されて・・・・・。


この香草似とくには待っている人のことを「パクチニスト」というらしく
とにかく、「パクチー」を大量につけて食べるのが好きな人たち。
あたかも、なんでもマヨネーズをかける人(マヨラー)のようです。
南京虫とかカメムシの匂いに、当初抵抗がある人が、
あるときを境に異常にハマるこの香草。
これは、「納豆」とか「くさやの干物」あるいはベルギービールの
「グーズ・ランビック」と同じ原理が働いていることが容易にわかります。

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さて、前置きがいつも以上に長くなりましたが、ぜひそういう人に試して
いただきたい野が今回ご紹介する
「蓼(タデ)」東南アジアでは主にベトナム料理のハーブで
活躍する強力な香り味のする雑草です。

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蓼は、ナデシコ目タデ科イヌタデ属に属している「ヤナギタデ」の事を指します。
柳のような葉の形をしているからなのですが、別名「マダテ」「ホンダテ」とも
言われまさしく「タデ」の中心的な存在です。

ヤナギタデは、北海道から沖縄および台湾、中国、北半球の温帯から
熱帯にかけて広く分布する1年草です。
ベトナムでは「ラウラム(Rau răm)」と呼ばれています。


蓼は河川や湿地、水辺などに生えているのを見かけます。
ヤナギタデの茎は直立し、草丈は高さ40~80cm。
無毛で、よく分枝します。 葉の長さは、5~10cmで、葉柄は短いです。

花期は7~10月で、白く小さい花を、枝先にややまばらな状態で穂状につけます。
果実(堅果)は、レンズ形で、長さ3mmで3稜形になっています。

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刺身盛りなどに一緒に添えられているツマとして、紅蓼がよく登場します。
蓼の紅色の葉は料理を彩ることに加え、殺菌・抗菌作用としても効果を発揮。
昔、胃薬として用いられていたこともあり、生ものと大変相性が良いのです。


種子は生長した花被片に包まれているので水面に落ちてもしばらく浮かび
水面に散らばります。このような種子でも水中でさかんに発芽し、増水により
冠水した葉でも水中で光合成できます。
このような性質から、この植物は水条件が変化しやすい水辺、河原、休耕田などに
群生することが多い雑草です。

ですから、以前お付き合いのあった農家さんは、この「タデ」の
生命力の強さに頭を抱えていました。ほかの農作物を植えるところにまで
増殖するほど生命力が高いのです。



ところでこの「ヤナギタデ」はその全草を生薬「水蓼」(スイリョウ)と呼ばれ、
民間薬として用いられることがあります。
秋に全草を採取し、日干しにして薬用に使います。
ヤナギタデの効能には、血液凝固促進作用や、血圧降下作用を示すことが
報告されています。
これを消炎、解毒、利尿、下痢止め、解熱、虫さされ、食あたり、
暑気あたりなどに用いられます。
ハチや毒虫にさされたときには、ヤナギタデの生の葉をもんで塗布すると痛みや腫れがおさまるといわれていますし、
食あたりには、茎葉をすりつぶしたものに、おろしショウガを同量混ぜ合わせ、
小スプーン1杯を服用する。葉を水洗いして日陰で乾燥させたものを利尿や解熱に
用います。また濃く煎じて飲めば暑気あたりによいといわれています。
海外のネパールでは、魚毒として、葉を砕いて川に流し浮いてきた魚をとったり、
ヨーロッバでは葉から黄色の染料をとります。

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日本では、上記の説明したとおり、
刺身のつまやすり潰して酢に混ぜることで
アユ等の魚の塩焼きに使用する蓼酢に用いることがありますが、
東南アジアのベトナムでは、料理と一緒に食べるハーブのひとつとして
利用されています。
強い香りと辛味を持つハーブとして解毒作用があり、ベトナムでは体を熱くする
ハーブだといわれているため、妊娠中の女性は控えるそうです。

合う料理とされているものとしてサラダ類や、
ホビロン(孵化しかけのアヒルの卵をゆでたもの)、
貝料理、田ウナギ料理などといわれています。
 
ちなみに、ベトナムの人はこの蓼だけを食べるのではなく、
他の様々なハーブ類と一緒に食べます。
(例外的にホビロンと、貝類は蓼単独)
その中にはラウムイ(パクチー)とかラーウェー(ホラパー)
とかも含まれています
単体では強烈な味がしてもほかのハーブと一緒なら程よい
バランスがとれて違和感がなくなります。
ですから、魚や肉など素材の臭みを抑えたり、料理の味を引き締めたり、
風味を引き立ててくれるハーブとして必須な存在なわけです。


ところで日本では「蓼食う虫も好き好き」ということわざがあります。
これは人の好みはそれぞれで、ずいぶんと違いがあるということのたとえ
として用いるそうですが、裏を返せばそれだけ蓼と言うものは個性が強くて
普通は受け入れられないほど強力な香り・味を発するということに
なります。

ですが、パクチーことコリアンダーもそういう匂いで苦手だった人も
ハマってそれだけが欲しいとなるわけですから、
ぜひ今度はこのタデにも挑戦してほしいという気がします。
そうなると「パクチニスト」ではなく「タデ(ラウラム)ニスト」
になるのかもしれませんが。

http://asianfoods.biz/Travelhp/2016%20CAM/55/5531.JPG
今年2016年の1月に行った
タイのナコーンラチャシーマ(コラート)の市場。
定番物としてニンニクが売られています。


東南アジアの食材シリーズ今回はニンニクを取り上げます。
ニンニクは東南アジア食材というより中華の餃子とか、焼肉の添え物
あるいは日本のラーメンなどにも入れて食べたりしますので、
東南アジア料理という印象からは少しずれているようにも見えますが、
実はタイ料理とかでこのニンニクを使わない料理を探すほうが
困難ではないかとおもうほど実はよく使います。
(ベトナムなど他の国々でもしかり)

先日「ニンニクは嫌いなのでそういうものが入っていないタイ料理を探している」
という旨問い合わせがありました。
そこで改めてニンニクを調べてみたわけです。

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ニンニク(蒜、大蒜、葫、忍辱)
学名:Allium sativum
ユリ科ネギ属の多年草で、球根(鱗茎)を香辛料として用います。
日本ではニンニクやノビル(野蒜)など鱗茎を食用とします。

臭いの強い(ネギ属の)植物を総称して蒜(ひる)と呼んでいますが、
特にノビルと区別する場合にはオオヒル(大蒜)とも称しました。

生薬名は大蒜(たいさん)。

語源は困難を耐え忍ぶという意味の仏教用語の「忍辱」とされます。
これは強壮・強精作用と臭いがインド起源の仏教界で
「煩悩をかき乱し修行の妨げになる」として「葷酒(くんしゅ)山門に入るを
許さず」のように忌み嫌われたからです。
日本でも禅宗で「不許葷酒入山門」とされたように、
強壮作用が煩悩(淫欲)を増長するとされて仏教の僧侶の間では
ニラ、ネギ等とともに五辛の1つとしてニンニクの食が禁じられました。
(余談ですが、東南アジア料理にはニラとネギもよく使います)

ごくたまにラーメンが食べたいときにラーメン屋さんに
行けばこのように生のニンニクをつぶして
ラーメンに入れると気力が回復するように感じます。


ニンニクの原産地は中央アジアと推定されます。
歴史的には紀元前3200年頃には古代エジプトなどで栽培・利用されていました。
また、現存する最古の医学書『エーベルス・パピルス』(en) には薬としても
記載されています。
中国には紀元前140年頃(漢の時代)に伝わったそうで、
日本には中国を経て8世紀頃(奈良時代)には伝わっていたと見られます。

ちなみに現在中国が世界のニンニク生産量の8割を占めているそうです。

ニンニクの花

ニンニクは5月頃に白い小さな花を咲かせます。
しかし、栽培時には鱗茎を太らせるために花芽は摘み取ります。
摘み取った茎は柔らかい物であれば野菜として利用されます。
一般的に見かけるニンニクは分球ニンニクがほとんどで
ですが、一片種と呼ばれる中国のプチニンニクなどの品種もあります。

ジャンボニンニクあるいは無臭ニンニクと呼ばれるものは
本来的にはニンニクとは別種であり、リーキ(ポロネギ)の1変種です。


ところで、タイ語では「ガティアム กระเทียม」と呼ばれ、
タイ料理では入っていない料理はないほど一般的に大量に使われています。
実際に、料理を作っていますと炒め物にはこのニンニクをスライスもしくは
みじん切りにしたものを用意して最初にいためてこの香りを出してから
メインの食材を炒めますし、グリーンカレーペーストなどの
タイカレーのペーストにはにはこのニンニクが結構含まれています。
ソムタムとかヤムウンセンとかのサラダの辛いたれには赤唐辛子とニンニク
をつぶすのが基本です。

http://msp.c.yimg.jp/yjimage?q=CaBE.OEXyLFt4NqmMTtzKV6VSarc1rZY6CltUTOEJf.PA9SAgz0ZJTWsfui2jlh3SQdvOlbYG4JwZokBNDIAKsjQTsahuDGWr6a3s1lmpoV8hu6t2OLG5YDw88CyEWfKJjOc7tfrXA4Qomp8a.TX&sig=13aq9okhi&x=256&y=170
このようにして一見使っていないように見えても
実はニンニクをつぶして使用しているタイ料理が多い。


あと、ガイヤーンとかいう鶏を焼いたものとかのベースになるタレに
このニンニクとコリアンダー(パクチー)の根っこをすりつぶしたものを
使います。

ベトナム料理でもニンニク(tỏi)はよく利用し、
例えば生春巻そのものには入れませんが、
ヌクチャムと呼ばれるつけダレにはニンニクを刻んだものが入ります。

という具合に、ニンニクが入っていない料理を見つけるのが難しいほどですが、
本来野菜なのに精進料理とされるものにはニンニクが入らないレシピがある
そうです。
これは上記のように仏教とニンニクの関係は悪いみたいですから
なんとなくうなづけます。

ところでニンニク特有の刺激臭や辛味は、加熱処理を施せば和らげられます。
また乾燥したニンニクは香味、臭気ともに弱まるものの、火を加えると
復活します。
ニンニクの辛味成分には、刺激性、殺菌性及び駆虫性等があるので、健胃薬、整腸薬、呼吸器病薬、肝臓障害治療薬、緩下薬、利尿薬等としての薬効が数多く上げられています。

ところでニンニクの効能はそのほかにも次のようなものがあります。

・ニンニクには糖質の分解を促す(ビタミンB1の効果を高める)
アリシンを含みます。
アリシンはビタミンB1の吸収・保持を高め、加えてニンニクの無臭の
スコルジニンには、強力な酸化還元作用があり、体組織を若返らせ、
新陳代謝を盛んにし、疲労回復に役立ち、強壮・強精作用を有します。

・ニンニクの摂取が、いくつかの癌、特に消化器管系の癌のリスクを減少させる可能性が示唆されています。ただし、仮にニンニクの摂取が一部の癌の発生を減少させているとしても、それ以外の癌のリスクがどの程度残っているかははっきりわかっていないようです。
それでも結腸癌、直腸癌の予防の観点でリスク低下がほぼ
確実とされているそうです。

・ニンニクの持つO157菌等の腸管出血性大腸菌に対する殺菌力は、
試験管やシャーレを使った実験、動物実験などでの実証が
論文発表されています。1%のニンニク粉末水をマウスに経口投与した
際に腸管内の生菌数の減少が報告されています。
つまりニンニクの摂取が消化器系の感染予防に寄与できることを
示唆しています。


ということで、いろいろな効能もあり、それからやはり
パワーの源ということもあって年中暑い東南アジアでは必要な
存在だったのかもしれません。
(タイ料理自体、生産量の多い中国からの移民も多くて中国料理の一部
がタイ料理になっているものもあります)

とはいえ、ニンニクにも欠点があり、それは「口が臭くなる」というのがあります。
翌日客先などに行くときには餃子などを食べては行けないとかいわれたり、
あるいは焼肉屋さんに行けば生産後に口臭を改善させるための
ガムを配られたり、何かと気を使います。


ですからそういうニュアンスでの問い合わせだったのかもしれません。


そういえば、タイ料理にせよベトナム料理にせよニンニクが大量に
含まれているのに口臭の問題というのは、焼肉や餃子を食べたときほど
問題になっていない気がします。上記のものよりまだ食べる人の人口比率
の少なさもあるのかもしれませんが、
個人的には意外ににハーブの存在が大きいのではという気もします。

http://item.shopping.c.yimg.jp/i/l/gyoza-marumatsu_2-0563-180
ニンニクと餃子の関係は切っても切り離せませんね。


ベトナム料理では大量のハーブ(草)を食べますが、
たとえばミントのようなものを食べることもあり、
こういったものと一緒に食べるから口臭がいうほど気にならないの
かなという気がします。(確認は取れていません)

もしそうならば、一般的にハーブを食べることによって防ぐことが
できるとされる、整腸の機能と同時に添え物であるハーブ(草)が
必要不可欠な存在となりますね。

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当店のエスニックハーブ盛

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東南アジアの食材シリーズ。
今回はフォーのハーブなどで必須のノコギリコリアンダーを取り上げます。

日本名:オオバコエンドロ(別名:ノコギリコリアンダー)
英名: Long Coriander、culantro
学名: Eryngium foetidum 
タイ語: ผักชีฝรั่ง パクチー・ファラン、
スペイン語: culantro クラントロ

セリ科ヒゴタイサイ属に属する熱帯アメリカ原産の植物。
ちなみにベトナムでは北部ではMùi Tàuムーイ・タウ
南部ではNgò Gaiゴー・ガイと言います。
パクチー・ファランのファランは「外国とか「よそ者」と言う意味があり、
タイなどでは欧米人をさして呼んだりする言葉ですが、このパクチーファランも
よそ者のパクチーのような意味合いで呼ばれています。

元々タイに自生していなかった植物だったのですが、熱帯アメリカ原産の
このパクチーファランのその香りが、地中海原産の本家「パクチー」と同様の
カメムシ臭がさらに強烈に香ることから、タイやベトナムでは”西洋のパクチー”として料理に取り入れられた歴史があるようです。
また、パクチーの別名「香草」よりさらに強力として
「超香草」とも呼ばれています。
 
日本名の由来のうち「ノコギリコリアンダー」は、葉は細長くのこぎり状で、
コリアンダー・リーフの匂いを発するためにつけられました。 

薬効もあり、滋養強壮、体の免疫力を高める働きがあります。

料理としてベトナム料理、シンガポール料理、マレーシア料理、タイ料理、
ラオス料理、カンボジア料理のハーブとして、良く使われます。

当店では主にベトナム料理の添え物として必須な存在で
本家?のパクチーよりもベトナムではこちらのほうが出てくることが多いです。
そのため、揚げ春巻きとかフォーでは必ず入れるようにしています。

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その他ラープでも葉を細かく刻んだものをくわえています。

入手は、タイの食材店で仕入れることがほとんどですが
最近ではためしに植えてみると、わずかながらも生育してきました。

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東南アジアの食材シリーズ。今回はここ2・3年急激にこれの存在を
意識しているお客様が増えてきました。
東南アジアのハーブの「エース」とも言えるコリアンダーを取り上げます。

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コリアンダー(coriander、学名:Coriandrum sativum L.)
セリ科の一年草。パクチー、シャンツァイ (香菜)、中国パセリなど呼ばれます。
属名はラテン語。
日本名もあり、「コエンドロ」と呼ばれますが、現在ではほとんど使われず、
この記事を書いている人間も、今回初めて知った名前です。
これは鎖国前の時代にポルトガル語(coentro)から入った古い言葉です。
「コスイ」胡荽、「コニシ」という名前もあり、
これはコエンドロが用いられる以前の呼称です。
この香草は平安時代の延喜式、和名抄などでは、朝廷料理で生魚を食べる
際に必ず用いる薬味として記載がありました。

要するに、カメムシや南京虫のような匂いがするということで
日本料理の食材として使われることはなくなったものが
中国や東南アジア経由で入ってくる結果となったんですね。

本来は地中海東部原産で、各地で古くから食用とされてきました。
高さ25 cm程度。葉や茎に独特の芳香(カメムシ臭)があります。
また、熟した果実(種)にはレモンにも似た香りがあります。


コリアンダーとのかかわりの歴史は古く、プリニウスの博物誌には、
最も良い品質のコリアンダーはエジプト産という記述があります。

古代エジプトでは、調理や医療に用いられていた記録が残っています。
B.C.1552年のテーベの医薬書(Medical Papyrus of Thebes)に
その名が見られます。
B.C.1000年ごろからは、コリアンダーと
亡骸をいっしょに墓に葬る習慣もあったそうです。

その後、古代ギリシャや古代ローマでも、
最もよく用いられた薬草のひとつであり、
「医学の父」といわれたヒポクラテス(紀元前4~5世紀)も奨励しており、
胸焼け防止や催眠薬になると述べています。

また「千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)」では、
強壮作用があると考えられていたのか、媚薬として用いられています。

その後イギリスへはローマ人からもたらされ、アメリカへは
イギリスからの最初の移住者が伝えたとされ、こうして世界中に広まりました。
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(コリアンダーの花はこんなピンク色をしています)


そして、このコリアンダーは世界各地でさまざまな呼び名があります。


タイ
パクチー(タイ語: ผักชี)と呼ばれ、
トムヤムクンなどのスープやタイスキをはじめとした
さまざまな料理の薬味に用いられます。
※一般的に知られた名前です。当店のグリーンカレーペーストにも含まれています
 が、ほかにもいろんなものが含まれていますので、カメムシ臭はほぼ感知でき
 ないと思います。

ベトナム
ザウムイ(ベトナム語: rau mùi)と呼ばれ、
本場の生春巻きやフォーには欠かせない食材となっています。
(但しし、フォーや揚げ春巻きなどのベトナム料理の添え物には
これ以外の多くのハーブが含まれていまして当店もそれに準じています)
※ベトナム人の留学生が手伝いに来たときにこの名前を教えてもらいましたが
 しばし忘れてしまっていました。
 ちなみに当店の生春巻も事前に「不要」といわなければこちらを入れています。


中国
香菜(シアンツァイ、中国語: xiāngcài)と呼ばれ、スープ、
麺類、粥、鍋料理などの風味付けに利用される他、東北地方には
「老虎菜」(ラオフーツァイ)という
キュウリ、青唐辛子(レシピによってはピーマンで代用される)と
共にサラダの様に生食する郷土料理もあります。
北魏時代の斉民要術に密植による軟化栽培の方法が記されています。
※もともと、ここまでこのコリアンダーの認知度が高くないころから
 店で取り入れていました。当初は「シャンツァイ」という名前のほうが
 メジャーでした。

中南米
クラントロ(スペイン語: culantro)と呼ばれ、
スープやサルサなどに広く用いられます。メキシコからの移民が多い
アメリカ合衆国においても、英語のコリアンダーよりもスペイン語の
クラントロの方が一般的な呼称となっています。
※以前紹介したキーライム(マナオ)もそうなのですが、
 現在生のもので正規ルートで入っているものはメキシコ産です。
 パナマではこのクラントロが必須という情報もあり、意外な共通点を感じます。

ポルトガル
コエントロ(ポルトガル語: coentro)と呼ばれ、
魚介類と野菜を主な材料とする鍋料理です
カタプラーナなどの郷土料理によく用いられます。
ポルトガル料理の味を特徴づける重要な食材です。
※もともとの原産が地中海東部沿岸でかつて世界の家庭料理を
 弁当として提供していたことがありますからわかりますが
 このあたりの地域でも結構コリアンダーは必須アイテムです。

インド
ダニヤー(ヒンディー語: धनिया ; dhaniyā)と呼び、
カレーにもよく使われるスパイスのひとつです。
※インド系のカレーを作ったこともあるのでわかりますが
 コリアンダーの種(果実)はスパイスでは必須ですね。


ということで、タイをはじめとする東南アジアだけの食材とは
違うことがわかります。

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(コリアンダーの根(左)と種・果実(右)

ところで、このコリアンダーは葉だけでなく根や種(シードも使います)
種(コリアンダーシード)は、植物学上では果実ですが、
これを乾燥させたものをスパイスとしてすりつぶした粉末は柑橘類、
特にオレンジのような香りを漂わせカレーなどに用いられます。
※当店のグリーンカレーペーストにもクミンと一緒に砕いたものを
 使用しています。


また、根も使います。主にタイ料理ではよく使われ
グリーンカレーペーストだけでなく、鶏焼(ガイヤーン)用に漬け込むための
タレにもこのコリアンダーの根は使われますし、
ほかにもいろんなところで「陰」で活躍します。
※クロックというタイの臼(ウス)でにんにくと一緒に砕いて使うことが多いです。



中国医学では全草の乾燥品である「胡荽」の性質を
温、辛として生薬のひとつともしており、また、コリアンダーは「炎症を緩和する」、「気分を落ち着ける」、「体内の毒素を排泄する」等と言われています。

これについては科学的根拠ははっきりしていないそうですが、
それでも東南アジアに渡航する際に、腹を壊しにくいとか蚊に刺されにくい
という話もあり、確かに現地に渡航し始めたときには、よく蚊に刺されて
苦労した思い出があります。
しかし、何度か渡航を続けていると現地の衛生状態が年々向上している
というのもあるのかもしれませんが、ローカルなところに行こうとも
あまり蚊に刺されなくなったのは事実。
食べているとある程度体質が変わるのかもしれません。
(ただし、これは東南アジアのハーブ全体の話なので、必ずしもコリアンダー
 だけの話ではないです)


ということで、今回はコリアンダーを取り上げましたが、
日本ではなじみが薄いだけで実は東南アジア以外の地域でも
活躍していることがお分かりいただければと思います。

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