「グリーンカレーに入っているのはグリーンピースですか?」
たまにこういう質問を受けることがありました。
解答を先に言えば「違う」のですが
その疑問を持ったまま、それだけを残す人もいたりして
ちょっと残念なので、今回はそれを取り上げてみることにしました。

そのグリーンピースもどきの正体は
「ナス」れっきとしたタイのなすび「すずめナス」です。

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学名  Solanum torvum Sw ナス科ナス属
タイ名 มะเขือพวง(マックワ・プゥアン)                 
英名Turkey berry
和名セイバンナスビ(生蕃茄子)

原産地・分布 熱帯アジア地域(一説にはアメリカ?)原産。  
        広く熱帯に帰化・栽培。 日本では沖縄県で生育。

外来種で日当りの良い山道の崖などで見られます。
「セイバン」は「西蕃」と書き、西遊記の時代の三蔵法師が向かった
西方浄土つまりチベットやインドあたりを指すそうです。

特徴
 高さ1~3mになる亜低木。 
全体に星状毛を密生し、枝には短く鋭い刺が散生する。
 葉は卵形~卵状長楕円形で、長さ10~20cm。縁は波状に切れ込み、
 先は鋭い。 花は葉腋のやや上から集散花序をだし、多数の花をつける。
 花冠は白色で5裂し、径2.5~3cm。
 液果は球形で、径6~8mm、黄熟する。

分布: 路傍
花期:ほぼ1年中

インドネシアでスズメナスは
ソラソニン、ソラソディン、ソラマージン、及びソラニンという化合物を含有
しているので、薬として利用しています。

1. INFEKSI SALURAN KENCING (尿道炎・尿路感染症)
飲み薬の作り方:スズメナス、フタバムグラ、コミカンソウ(小蜜柑草; Phyllanthus urinaria)、
それぞれ30グラム、お水カップ3杯と一緒に沸かして、
1カップを残して、火を止める。1日に3回飲む(1カップずつ)。

2. RADANG KULIT(皮膚炎)
飲み薬の作り方:30グラム乾燥ハーブまたは60グラムの生ハーブをお水と一緒に沸かして、
1カップを残して、1日に2回飲む(1カップずつ)

3. DISENTRI(赤痢)
50-60グラムの葉っぱと白砂糖:25g、3カップの水と一緒に沸かし、
お湯が1カップまでの量で火を止める。1日に3回、各1カップずつ飲む。

4. KEPUTIHAN(おりもの)
それぞれ30グラムのスズメナスの葉っぱと鶏頭 (けいとう)の花(白)、
3カップの水と一緒に沸かす。1カップのお湯が残ったら、火を止める。1日に2回程度、飲む。

5. BIDURAN(蕁麻疹/じんましん)
スズメナすの木(根っこを除く)を砕いて、蕁麻疹になった体の部分につけてこすります。
肌の色が鮮やかになるまで。1日に2、3回程度で行う。

6. DEMAM(熱)
葉っぱ:70gを水5カップと一緒に沸かす(約15分)。1日に3、4回を飲む。

7. MATA KERING/DRY EYE(ドライアイ)
1日に3回、15個の実をきれいに洗ってから飲み込みます。
沸かしたスズメナスの葉っぱと水を飲むことで、小便がスムーズになり、
高血圧病や心臓病にも手助けになると言われています。また、淋病という性病にも治療ができる。


樹液はイボなどのような皮膚病にも薬とすることができる。
殺菌・抗菌・抗がん剤として使用することができ、腫れる、炎症、リューマチ、痔の薬として。
スズメナスを食べることによって、性欲や勃起力をアップさせる効能があります。

必ずしも全種類のスズメナスは食用できない。一種のスズメナスは毒があります。
スズメナスは食中毒を引き起こす場合があるので、食べ過ぎるのも要注意。
若くない葉っぱにはグリコアルカロイド、ソラニンが含まれている。
スズメナスを食べ過ぎると
「吐き気、胃炎、唾液分泌過多、眠い、腹痛、下痢、だるい、呼吸器障害」など招く副作用があります。

さて、このすずめナスは、タイのグリーンカレーには必要なものです。
大きなタイナス(マクアボ)の存在に隠れがちですが、2種類のタイナスが
あってのグリーンカレー。最近は以前と比べて入手しやすくなった
食材のひとつです。

食べてみればわかります。グリーンピースとは明らかに違うものであることを。