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今年2016年の1月に行った
タイのナコーンラチャシーマ(コラート)の市場。
定番物としてニンニクが売られています。


東南アジアの食材シリーズ今回はニンニクを取り上げます。
ニンニクは東南アジア食材というより中華の餃子とか、焼肉の添え物
あるいは日本のラーメンなどにも入れて食べたりしますので、
東南アジア料理という印象からは少しずれているようにも見えますが、
実はタイ料理とかでこのニンニクを使わない料理を探すほうが
困難ではないかとおもうほど実はよく使います。
(ベトナムなど他の国々でもしかり)

先日「ニンニクは嫌いなのでそういうものが入っていないタイ料理を探している」
という旨問い合わせがありました。
そこで改めてニンニクを調べてみたわけです。

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ニンニク(蒜、大蒜、葫、忍辱)
学名:Allium sativum
ユリ科ネギ属の多年草で、球根(鱗茎)を香辛料として用います。
日本ではニンニクやノビル(野蒜)など鱗茎を食用とします。

臭いの強い(ネギ属の)植物を総称して蒜(ひる)と呼んでいますが、
特にノビルと区別する場合にはオオヒル(大蒜)とも称しました。

生薬名は大蒜(たいさん)。

語源は困難を耐え忍ぶという意味の仏教用語の「忍辱」とされます。
これは強壮・強精作用と臭いがインド起源の仏教界で
「煩悩をかき乱し修行の妨げになる」として「葷酒(くんしゅ)山門に入るを
許さず」のように忌み嫌われたからです。
日本でも禅宗で「不許葷酒入山門」とされたように、
強壮作用が煩悩(淫欲)を増長するとされて仏教の僧侶の間では
ニラ、ネギ等とともに五辛の1つとしてニンニクの食が禁じられました。
(余談ですが、東南アジア料理にはニラとネギもよく使います)

ごくたまにラーメンが食べたいときにラーメン屋さんに
行けばこのように生のニンニクをつぶして
ラーメンに入れると気力が回復するように感じます。


ニンニクの原産地は中央アジアと推定されます。
歴史的には紀元前3200年頃には古代エジプトなどで栽培・利用されていました。
また、現存する最古の医学書『エーベルス・パピルス』(en) には薬としても
記載されています。
中国には紀元前140年頃(漢の時代)に伝わったそうで、
日本には中国を経て8世紀頃(奈良時代)には伝わっていたと見られます。

ちなみに現在中国が世界のニンニク生産量の8割を占めているそうです。

ニンニクの花

ニンニクは5月頃に白い小さな花を咲かせます。
しかし、栽培時には鱗茎を太らせるために花芽は摘み取ります。
摘み取った茎は柔らかい物であれば野菜として利用されます。
一般的に見かけるニンニクは分球ニンニクがほとんどで
ですが、一片種と呼ばれる中国のプチニンニクなどの品種もあります。

ジャンボニンニクあるいは無臭ニンニクと呼ばれるものは
本来的にはニンニクとは別種であり、リーキ(ポロネギ)の1変種です。


ところで、タイ語では「ガティアム กระเทียม」と呼ばれ、
タイ料理では入っていない料理はないほど一般的に大量に使われています。
実際に、料理を作っていますと炒め物にはこのニンニクをスライスもしくは
みじん切りにしたものを用意して最初にいためてこの香りを出してから
メインの食材を炒めますし、グリーンカレーペーストなどの
タイカレーのペーストにはにはこのニンニクが結構含まれています。
ソムタムとかヤムウンセンとかのサラダの辛いたれには赤唐辛子とニンニク
をつぶすのが基本です。

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このようにして一見使っていないように見えても
実はニンニクをつぶして使用しているタイ料理が多い。


あと、ガイヤーンとかいう鶏を焼いたものとかのベースになるタレに
このニンニクとコリアンダー(パクチー)の根っこをすりつぶしたものを
使います。

ベトナム料理でもニンニク(tỏi)はよく利用し、
例えば生春巻そのものには入れませんが、
ヌクチャムと呼ばれるつけダレにはニンニクを刻んだものが入ります。

という具合に、ニンニクが入っていない料理を見つけるのが難しいほどですが、
本来野菜なのに精進料理とされるものにはニンニクが入らないレシピがある
そうです。
これは上記のように仏教とニンニクの関係は悪いみたいですから
なんとなくうなづけます。

ところでニンニク特有の刺激臭や辛味は、加熱処理を施せば和らげられます。
また乾燥したニンニクは香味、臭気ともに弱まるものの、火を加えると
復活します。
ニンニクの辛味成分には、刺激性、殺菌性及び駆虫性等があるので、健胃薬、整腸薬、呼吸器病薬、肝臓障害治療薬、緩下薬、利尿薬等としての薬効が数多く上げられています。

ところでニンニクの効能はそのほかにも次のようなものがあります。

・ニンニクには糖質の分解を促す(ビタミンB1の効果を高める)
アリシンを含みます。
アリシンはビタミンB1の吸収・保持を高め、加えてニンニクの無臭の
スコルジニンには、強力な酸化還元作用があり、体組織を若返らせ、
新陳代謝を盛んにし、疲労回復に役立ち、強壮・強精作用を有します。

・ニンニクの摂取が、いくつかの癌、特に消化器管系の癌のリスクを減少させる可能性が示唆されています。ただし、仮にニンニクの摂取が一部の癌の発生を減少させているとしても、それ以外の癌のリスクがどの程度残っているかははっきりわかっていないようです。
それでも結腸癌、直腸癌の予防の観点でリスク低下がほぼ
確実とされているそうです。

・ニンニクの持つO157菌等の腸管出血性大腸菌に対する殺菌力は、
試験管やシャーレを使った実験、動物実験などでの実証が
論文発表されています。1%のニンニク粉末水をマウスに経口投与した
際に腸管内の生菌数の減少が報告されています。
つまりニンニクの摂取が消化器系の感染予防に寄与できることを
示唆しています。


ということで、いろいろな効能もあり、それからやはり
パワーの源ということもあって年中暑い東南アジアでは必要な
存在だったのかもしれません。
(タイ料理自体、生産量の多い中国からの移民も多くて中国料理の一部
がタイ料理になっているものもあります)

とはいえ、ニンニクにも欠点があり、それは「口が臭くなる」というのがあります。
翌日客先などに行くときには餃子などを食べては行けないとかいわれたり、
あるいは焼肉屋さんに行けば生産後に口臭を改善させるための
ガムを配られたり、何かと気を使います。


ですからそういうニュアンスでの問い合わせだったのかもしれません。


そういえば、タイ料理にせよベトナム料理にせよニンニクが大量に
含まれているのに口臭の問題というのは、焼肉や餃子を食べたときほど
問題になっていない気がします。上記のものよりまだ食べる人の人口比率
の少なさもあるのかもしれませんが、
個人的には意外ににハーブの存在が大きいのではという気もします。

http://item.shopping.c.yimg.jp/i/l/gyoza-marumatsu_2-0563-180
ニンニクと餃子の関係は切っても切り離せませんね。


ベトナム料理では大量のハーブ(草)を食べますが、
たとえばミントのようなものを食べることもあり、
こういったものと一緒に食べるから口臭がいうほど気にならないの
かなという気がします。(確認は取れていません)

もしそうならば、一般的にハーブを食べることによって防ぐことが
できるとされる、整腸の機能と同時に添え物であるハーブ(草)が
必要不可欠な存在となりますね。

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当店のエスニックハーブ盛