東南アジアの食材シリーズ。
今回は、当店のグリーンカレーの上に乗っていて、
「これは何ですか?」「食べられるものですか?」と
よく質問を受ける「胡椒」それも生の「生胡椒」について取り上げます。

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コショウ(胡椒、学名:Piper nigrum)は、
コショウ科コショウ属のつる性植物、または、その果実を原料とする
香辛料のことで、インド原産です。

収穫のタイミングや製法の違いで、黒胡椒、白胡椒、赤胡椒、青胡椒
といろいろな種類がありますが、本来の植物としての胡椒は
絵のように、緑色していてぶどうの房のような形をしています。


古代からインド地方の主要な輸出品でした。
紀元前4世紀の初め頃、古代ギリシアの植物学者テオフラストゥスは
『植物誌』の中でコショウと長コショウを考察しています。
コショウは当時から貴重で、取引における高値のさまは、
1世紀のローマにおいて金や銀と胡椒が同重量で交換されたかのような表現
が残っています。

その後も、冷蔵技術が未発達であった中世においては、
防腐剤の役目も果たし、料理に欠かすことのできないものでもあり、
大航海時代に食料を長期保存するためのものとして極めて珍重なものでしたので、
インドへの航路が見つかるまでは、ヨーロッパでは非常に重宝されていました。
十字軍、大航海時代などの目的のひとつが胡椒の入手ともいわれ、
中世ヨーロッパにおいては、香辛料の中で最も高価であり、
貨幣の代用として用いられ、
実際に金と胡椒が同重量で交換したという記録もあり、
ヴェネチアの人々は胡椒をさして「天国の種子」と呼んでいました。

現在ではラーメンなどにも入れる粉状のものをはじめ
香りを楽しむ?ためにミルでつぶすために売られている
乾燥したブラックペッパーやホワイトペッパーも普通に売られていて使いますが、

実はその胡椒を生で使用する料理がカンボジアやタイなどの東南アジアの地域
とかでは、炒め物とかの料理にこの生の胡椒が使用されていたりします。


そしてグリーンカレーにも現地ではこの生胡椒がカレーの上に乗っていて、
これはもちろん食べられるものです。

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実際に生胡椒をかじってみるとわかるのですが、盛り付ける際に取れてしまった
一粒の生胡椒をかじって食べても、直後は非常に辛いです。
でもその後、山椒のような心地よい香りが口の中に余韻として残りますので、
辛いのが得意な人は一緒にかじってみるのもお勧めです。
(苦手な人はやめるべき)

今食通の間で人気を集めている「生胡椒」を塩漬けしたものもあるようですが、
日本のタイ食材屋さんでもこの生胡椒はなかなか置いている所が少なくて、
「たまに手に入ることがあるくらい」ですから入手できたときには、
大量に仕入れて保存し、グリーンカレーで提供しています。


余談ですが、中国では西方から伝来した香辛料という意味で、
胡椒(胡はソグド人を中心に中国から見て西方・北方の異民族を指す)という漢字が用いられ、そのまま日本にも使われました。そして日本には中国経由で伝来し、
天平勝宝8年(756)、聖武天皇の77日忌にその遺品が東大寺に
献納された際にその目録『東大寺献物帳』の中に胡椒(こしょう)が
記載されていました。