「シンチャオの諸君。今回がミャンマーからのツアー客の皆様への
お昼ごはんが最後となる。実は今回の皆様は初めての海外ということで
日本料理に対してはまことに遺憾ながら否定的であった。
先日京都訪問時に京都の豆腐料理を予定していたが、それまでがほとんど食べられない状況ということで急遽タイ料理店に変更した。
つまりそういうことだ。容赦ない辛いものを出すように」

と、旅行会社さんからメールが飛んできました。
当日(昨日、4月28日)は旅行会社の人も立ち会いたいという。
特に今までの料理に起きた問題があるという話は聞いていないものの、
今回は最も困難なお客様であることだけは理解しました。

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でも、彼らの気持ちもわかります。私なども初めて海外に行ったときには
アメリカの西海岸であったが、どうしてもボリュウムが大きく味付けに
慣れていない料理が続くと、食が細ってしまったもの。
その人たちがなじみの料理を出すことでそれまでの飢えた状態を改善
する必要があったのでした。
タイ料理店に言ったといってもこれは日本食に飢えた日本人に
近いといって中華料理店に連れて行ったもの。それでも我慢は出来るので
しょうけれど。

当日は朝早くから準備開始。油をたっぷり、辛さを強化した
ミャンマーカレーを中心に作っていきます。


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今回は12名さまのお客様で食後のデザートやドリンクもつけてのコース
ということでお昼は菓子きり状態にして臨みます。

カレーが食べたいという希望もありカレーは三種類。
上の画像はナスのカレー。前回はちょっとナスが完全に出来上がっていなくて
硬めになってしまった感はあるものの今回は、きっちりと味がつきました。

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これはメインのチキンカレー実際に一番人気のこのカレー
辛さを強化していますが、実は油がマスキングしているのか
タイ料理のようなスパイシーさとはちょっと違いました。

これ以外に、海老のカレーも出しました。

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こちらはちょっとした野菜の和え物です。
そのほかには下の画像の野菜の盛り合わせ。
ミャンマーでは食卓においているもので
前回の上座部仏教の僧侶の一行では人気でした。

あとは、魚のスープ、手作りデザートと紅茶も用意しました。


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さて本番ですが、旅行者の皆さんは席に着いたとたん
あたかも飢えている犬が餌を貪るかのように黙々と召し上がられました。
しばらく食べるものに飢えていたのが見ていてわかりました。
(私の経験でも、海外初めてで食べるものが無くて困っていた時に
食べた黒人の握った寿司がおいしかったのと同じ感覚でしょう)

旅行客の方々以外に日本語が通じる現地の人(添乗員)さんと
日本在住のミャンマー人のガイドさんがこられていました。
添乗員さんは「当店がどのくらい続いている店なのか」とか「なぜミャンマー料理が
作れるのか?」不思議に思っていたようですが、
「ミャンマーの食卓はこんな感じです」と
いっておられましたので問題は無かったようです。

また、ガイドさんは前回と同じ人だったのでシェフと仲良くなりました。
日本在住経験が長いためかこの人の場合逆に油がきつかったようでしたが・・・。

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東京で仕入れるこちらのセット、茶の葉の漬物は
梅干のような存在で今回も大人気でした。


こうして、ツアーシーズンが終わりました。

次は秋からの旅行のシーズンが始まるそうです。
確かにタイあたりがそうですが、これからは雨期に入ります。
そして雨期が終わるのが秋ですから、その間は旅とかを控えるのかもしれません。

いずれにせよ今回は、よりよい勉強になりました。
新しい分野の可能性も気づけました。

13年続いているとはいえ、新陳代謝の激しい飲食業界。
油断していると劣化してしまう恐れのある業界。
常に学び続ける必要があります。新規分野といっても需要とかけ離れて
いれば、空回りするだけ。

そういう意味で海外からの観光客の皆様を迎える「インバウンド」という需要が
あるという事実がありました。
そしてタイ料理店ベトナム料理店ならいくらでもありますが、
それ以外の国々はほとんど知名度も低く専門店も皆無に近い
(できても長続きしないか、タイ料理店になってしまう)

そういう時に、既存の分野をもちながら新しい分野に入り込むこと
このことこそが、14年目以降今しばらく店を維持するためには重要なのです。


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さて、秋以降に再びミャンマーからのインバウンドの予約が入るかどうか
それは、まだわかりません。
旅行会社の方や先方のミャンマーのツアー会社の方との関係もあるでしょう。
それでも、学ばせていただいた機会は大事にし、育てて行きたいと思います。
ミャンマーを始め、当店の場合カンボジアやその他の国でも対応可能なのですから。